2009/09/13

スペイン、窓を持つケルトのメンヒル

 9月11日

 サンティアゴ・デ・コンポステーラからバスで約一時間、港湾都市ア・コルーニャに到着した。
そこからバスで乗り換え、15分ほどでエルクレスの塔にやってきた。
 コルーニャ岬に建つ古代ローマ時代の灯台は、エルクレス(ヘラクレス)の塔と呼ばれている。ヘラクレスが倒した伝説の怪物グリュオンの死体の上に建設されたとの伝説もある。ローマ人は、60mの崖の上に30mを超える灯台を建設した(18世紀に増築された上部の照明施設部分を含む現在の高さは約55メートル)。紀元100年には既に建てられていたとされ、ローマ時代の灯台としては唯一の現役だという。この塔は、2009年にユネスコの世界文化遺産として登録された。
 しかし、私がここに来た目的はこの塔ではなく、別にあった。この岬には彫刻公園がありそこに現代作家によるユニークなメンヒル(立石)があることを知ったからだ。
 エルクレスの塔を左手に見て、海岸沿いを歩くと小高い丘が現れた。そこには、いくつもの現代彫刻が展示されていた。さらに少し下ると、もう一つの丘が見えてきた。小さな湾には激しく波が打ち寄せている。
その丘には、いくつものメンヒルが頭を出していた。
遠くから見ると、まさに古代遺跡といった感じがする。
近づくと、11個のメンヒルが立っていて、それぞれに穴が空けられ窓のように見える。窓を覗くと海が見えた。
作家は、どのような思いでこの“窓”をもったモダンな立石をつくったのだろう。恐らく、このガリシア人の作家は、自分たちのルーツがケルトであることをこのモダンなメンヒルで主張したかったのではないだろうか。
作品名「メンヒルの家族」。

メンヒルの陸側を望めば現代建築群が並んでいる。何とも不思議な光景だ。

                 スペイン、ビトリアにて 郡司 拝