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2010/04/25

ブルーマウンテン、スリーシスターズ(The Three Sisters)とアボリジニの記憶

 アリス・スプリングスから3時間あまりのフライトでシドニーへ飛ぶ。窓から見えるオーストラリア最大の都市シドニーの街は、実に緑が豊かで美しい町並みが広がっていた。空港から予約をしていたホステルまでピックアップしてもらいチェックインする。そのホステルには、ワーキングホイデーで滞在している日本、韓国、アジア系の若者が多かった。

 4月21日

 シドニーでブルーマウンテンの一日ツアーに参加する。

朝8時過ぎにミニバスに乗ると、ヨーロッパ、北欧、アジア、南米など多様な国々から20数名の人々と一緒だった。簡単な自己紹介をしてツアーは始まった。ブルーマウンテンは、シドニーから100kmほど離れていた。

バスは一時間ほどで、ブルーマウンテン近くの森にやってきた。ガイド兼ドライバーのソロモンは森の中を案内する。植物や動物の事をいろいろ説明し、最後に木が三本立っている場所にやってきた。

ここは、アボジニにとって聖なる場所だという。木には亀が彫られていた。

これらの木は、アボリジニの精神性を現しトーテムとして信仰されているそうだ。

その後、バスはブルーマウンテンが見える切り立った岩の上にやってきた。眼下には、深い深い森が横たわっていた。

森にはたくさんのユーカリの木が生えていて、その木からでる樹液の油分が、空気中に漂い太陽光に反射して、山々を青く見せるそうだ。それが「Blue Mountains = 青い山々」の由来だという。岩には、窪みがありそこにアボリジニのマークがあった。

その後、バスは違った崖の上へ向かった。

 ブルーマウンテン国立公園の入り口の町カトゥーンバ(Katoomba)にあるエコポイント(Echo Point)展望台からは、ジャミソン渓谷(Jamison Valley)にそびえ立つ三つの切り立つ岩柱が見えてきた。


これが、スリーシスターズ(The Three Sisters)である。この岩には、魔法で岩の姿に変えられた美しいアボリジニの3姉妹の伝説がある。

 かつて、この地で美しい3人姉妹と祈祷師の父親が平和な生活を営んでいた。ある日、魔物が娘たちを襲いにやって来た。驚いた父は魔術で娘たちを岩にし、自分をコトドリに変身させ、岩穴の中に逃げ込んだ。しかし父親も娘たちも一生人間に戻ることができなくなったという。

それと少し違う内容の伝承もある。

 昔々、カトゥンバ族の魔法使いと、メニヒ、ウインラ、ブネドゥと呼ばれ る三姉妹が住んでいた。三姉妹は、ネビアン族の勇敢な三兄弟に恋をしてしまった。しかし、昔からの掟で異族間の結婚は禁じられていた。若者達は、禁じられ た恋に命をかけて武力で娘達を奪おうとしたが、カトゥンバ族は抵抗し、やがて部族間の戦は激しくなった。魔法使いは戦が終わるまで娘達を岩に変えて隠さ せ、戦が終わったらもとに戻すつもりでいた。しかし、魔法使いは戦死してしまい、娘達は元の姿に戻れなくなってしまったとか。

エコポイント展望台から、渓谷に下って行くと滝が見えた。

そこにはいくつもの巨石が点在していた。

この山は不安定なため、スリーシスターズがはっきり見えることは少ないとう。今回は、かなりくっきりと見えて幸いだった。

最後にガイドは、アボリジが彫ったカンガルーの岩絵を見せてくれた。

 ブルーマウンテンには、多くの先住民の記憶が残っている。

         ニュージーランド、オアマルにて

                        郡司 拝

2010/04/19

オーストラリアの奇岩天国、デビルズ・マーブルズDevil's Marbles

 ウルルのロック・ツアーからアリス・スプリングスのホステルへ戻り、夕食をすませてからテナント・クリーク行きのグレイハンドバスに乗る。バスは約500kmの行程を7時間かけて走り、深夜1時半過ぎにテナント・クリークの町に到着した。前もって予約しておいたホステルの人に迎えに来てもらい、チェックインして就寝。

 翌16日
 お昼にデビルズ・マーブルズ行きのツアーへ出発する。ツアーと言っても参加者は、我々二人にガイド兼ドライバーの三人だ。

 天候に恵まれた中、車はスチュアート・ハイウエィを南下した。30分ほど走ると赤茶色した塔のようなものが目に入った。どこかメンヒルのように見えるが、それは大きな蟻塚群だった。ガイドのビルは車を停め、蟻塚を案内してくれた。


 蟻塚には女王蜂が一匹だけ入っていて、大きなものは2m以上近くある。この蟻塚ができるには約20年の歳月がかかるという。その風景は、どこか古代遺跡を想像させた。

 その後、車で30分ほど走ると左手奥に巨石群が姿を現した。

 これがアボリジニの人々から「悪魔の卵」と伝えられるデビルズ・マーブルズだ。テナント・クリークから南に約100kmのところにある。草原の中の奇岩がごろごろと広がっている。確かに卵のような丸い石もあちらこちらにあり、実に面白い風景だ。二つの卵が寄り添っているように見える巨石は、知られている。

 ビルは、これらの巨石を案内しながら、これらの奇岩がどのようにできたか説明してくれた。風雨の力で溶岩が冷え固まった花崗岩が数百万年の時を経て風化し、浸食を繰り返してこのような形になったこという。さらに奥に行くと、岩盤の上に丸い石がぽつんとあった。

 何とも面白いバランスだ。まるで人為的に置かれているようにも見える。思わず、巨石を押した写真を妻に撮ってもらう。

しばらくして、車で移動するとまた別な巨石群があった。
積み重ねられたように見える奇岩。

卵を立てたような巨石。

桃太郎岩や子象岩などなど・・。


巨石マニアにはたまらない。

 夕方、ビルはデビルズ・マーブルズ近くのキャンプ場でバーベキューの夕食をもてなしてくれた。
そして、彼は最後に近くの巨岩の上を案内してくれた。そこから見える石の風景は実に美しかった。
デビルズ・マーブルズは、奇岩天国である。

我々は、再び二つの卵石を訪ねデビルズ・マーブルズを後にした。


                 シドニーにて
                       郡司 拝

THE ROCK TOUR  世界最大の磐座、エアーズ・ロック

 4月13日から15日にかけてアリス・スプリングス発の三日間のロックツアーに参加する。21人のヨーロッパ、アジアの若者に混じって我々はキングス・キャニオン、ウルル・カタジュタ国立公園の奇岩を巡った。連日、日の出前に起床し,オーストラリア先住民の聖なる岩山をトレッキングで巡る旅は、まさに聖地巡礼のように思えた。そこには、驚くべき岩の世界が広がっていた。


 13日

 日の出と共に出発したミニバスは、約240kmの肯定を4時間あまりで走りキングス・キャニオンへ到着した。ここは、中央オーストラリアで最も壮大な景色といわれる。約6kmものトレイルを歩くと、そこにはチョコレート色の奇岩やレンガを積み重ねたような風景が我々を待っていた。

何万年もかけて雨と風に磨かれた赤茶色の砂岩は、酸化鉄が含まれ、一層大地を赤く演出していた。



 「世界の中心で愛をさけぶ」ラストシーンの舞台にもなったキングス・キャニオンは、多くの日本人観光客が訪れる人気のスポットになっているとか。圧倒的な絶壁がとてもダイナミックな風景を見せてくれる。

その夜は、満天の星に見守られながら寝袋で野宿。南十字星が実に印象的だった。


 14日

 早朝の光の中、ウルル・カタジュタ国立公園へ入園(A$25)。

世界最大級の一枚岩エアーズ・ロックは地元アボリジニ(オーストラリア先住民)の人々はウルルと呼ぶ。それは、地球のへそという意味がある。エアーズ・ロックと同じ岩山であるカタ・ジュタ(オルガ山)は、アボリジニの重要な聖地である。また、ここは古来からのアボリジニの痕跡を随所に残す文化的な場所でもある。国立公園はピッティンジャラジャ評議会というアナング族の組織が有していて、オーストラリア政府にリースしている形をとっていた。

最初に、カタジュタ(オルガ山)へ行く。オルガとはアボリジニの言葉で「たくさんの頭」を意味する。

36もの岩のドームがあり、巨大な生命体のように見える。澄んだ水辺から岩を見上げると、巨大な象の姿に見える。エレファント・ロックだ。



風の谷のナウシカは、ここからヒントを得たという。最後に、オルガ岩のビューポイントへ行く。


 昼食を食べ、エアーズ・ロックの周囲を少し散策する。エアーズ・ロックの岩は、実に様々な表情を持っていた。




今でも儀式に使われている、聖なる池。

洞窟状の岩には、いくつもの岩絵が描かかれていた。



この花崗岩の赤い岩は、多くの鉄分を含んでいるため赤く錆びたのだという。

 驚いたことに、途中途中にいくつもの看板が立てられていて、「アボリジニの聖地なので写真を一切禁止する」とある。撮影したものは罰金A$5000とあるのだ。

 

 夕食をいただきながらサンセットのエアーズ・ロックを鑑賞する。まさにドリームタイムを感じさせた。



 15日

 早朝、朝食をいただきながらサンライズのエアーズ・ロックを鑑賞する。

その後、エアーズ・ロックの周りを歩く。朝日を浴びた赤い岩肌は、実に不思議な景観を見せてくれる。





岩肌は、実に艶かしくどこか聖地の性地性を感じる。イルカに似た岩と岩絵。



 恥ずかしながら、当初、私はエアーズ・ロックに登ろうと思っていた。それは、岩上の写真を撮りたいという好奇心からだ。しかし、エアーズ・ロックの周りを歩けば歩くほどこの巨大な岩が神聖な場所であり、日本の磐座と同じように思えてきたのだ。その上、岩の入口には「エアーズ・ロックは、アボリジニにとって神聖な場所で、特別な司祭以外登らないので、登らないで欲しい」との看板まであるのだ。パンフレットに寄れば、エアーズ・ロックの登山でこれまで35人以上が事故で命を落としていることから、これ以上、犠牲をださないためにも登らないでくれとかかれてあった。2009年7月にオーストラリア政府は2011年10月に入山禁止の措置を取る計画を行なっていることが明らかになった。しかし、2010年1月8日に観光業界に配慮し、登山を当面認めることを発表したという。いったい、何のための世界遺産なのか。聖なる岩山に鉄杭を打ち、登山道にしている行為自体が先住民の聖地を汚す行為に他ならない。一刻も早く、登山を禁止すべきだと思う。

その日、強風のため登山は禁止された。


 帰りがけ、ガイド兼ドライバーのサムは急ブレーキを踏んでバスを停めた。彼は道路でトーニー・デビル (thorny devil)と呼ばれるトゲトゲしたトカゲを見つけたのだ。

molochという別名を持つ珍しいトカゲは無毒で、敵から身を守るため、肌の色を変えることが出来るという。


 「エアーズ・ロックは世界最大の磐座だ」、ロック・ツアーは、私にそんなことを教えてくれた。


                      アリス・スプリングスにて

                                 郡司 拝