2021/10/16

「世界の巨石〜人と関わる大地・文化・観光・ジオサイトの魅力〜」 巨石ハンター・写真家 須田郡司

日本ジオパーク全国大会 ビックハート出雲                    2021年10月3日 「世界の巨石〜人と関わる大地・文化・観光・ジオサイトの魅力〜」                                  巨石ハンター・写真家 須田郡司 
1、割石が注目❗️                                          漫画・アニメ「鬼滅の刃」に登場する割れた石。主人公の竈門炭治郎が、修行中に大きな石を刀で真っ二つに切るシーンは実に印象的です。割れた石は、日本各地に点在します。花崗岩に亀裂が入ると、まるで刀で切ったように割れる現象があります。 天馬山の割石(島根・花崗岩)、太刀割石(茨城・黒雲母花崗岩)、一刀石(奈良・花崗岩)、破盤神社の割岩(兵庫・凝灰岩)、兄弟割石(大分・安山岩質の凝灰角礫岩) 2、巨石とは何か? 大きな石・岩石/奇岩怪石・景勝地/巨石信仰(石神・磐座)/聖なる石/地質学的価値のある石(地質百選・ジオパーク)/世界自然遺産 斎場御嶽(せーふぁーうたき)の三庫理(さんぐーい):沖縄県南城市     石灰岩 琉球王国時代の最高の聖地で聞得大君の就任式「お新下り」 が行われた場所。かつて男子禁制の地で、琉球神道の巡礼地。世界遺産 ・神倉神社とゴトビキ岩:和歌山県新宮市                                熊野酸性火成岩類の花崗質岩。コアストーン 熊野権現が最初に降臨したと伝わる霊石。ヒキガエルの方言。2月6日御燈祭り。世界遺産、南紀熊野ジオパーク ・世界遺産と世界ジオパーク  その違いは? 3、日本の巨石巡り ・北海道の奇岩怪石 猫岩、親子熊岩、神威岩(アイヌの神) ・石神さま/青森県青森市 眼病患者の篤い信仰 ・釣石神社の釣石/宮城県石巻市  岩質不明                                            1978宮城県沖地震に耐え受験の信仰、2011.3.11東日本大震災に耐え復興のシンボルへ  ・夫婦岩/三重県伊勢市 男岩(三波川結晶片岩に属する緑泥片岩) 女岩(輝岩)                            夫婦岩の約700m沖の海中に沈むご神体「興玉神石」を遥拝する天然の鳥居。                         1854(安政元)年 の大地震で沈む。大正7(1918)年の台風で婦岩が折れる。 ・王位(おえ)石/長崎県小値賀町 野崎島溶結凝灰岩 沖ノ神島神社の後ろに                             立つ24mの巨石。御神体。漁師の篤い信仰、御神楽を石の上で舞った ・不動岩/熊本県山鹿市 5億年以上も前の古生代の『変はんれい岩(さざれ石)』                          高さ約80m、根回り100m。平安時代より不動明王を祀り信仰。伝説あり。     ・帯岩/沖縄県宮古島市 石灰岩  下地島のオコスゴビジー(帯岩)高さ12m、周囲60m。                     明和大津波(1771)津波石 民間信仰の対象であり、大漁、航海安全、家内安全の祈願              4、世界の巨石巡り ・江華(カンファ)島のコインドル(支石墓)/韓国 質片麻岩                          コインドルは、紀元前1000年~紀元前100年の先史時代に作られ約120余基が広い範囲に散在。大きさは高さ2.6m 、蓋石の長さ7.1m、幅5.5m、屋根石の重さは80トン。 世界遺産 ・テレルジの亀石(モンゴル)花崗岩                                   ゴルヒ・テレルジ国立公園は、中生代後期三畳紀(2億2千万年〜2億 5 百万年前)のゴルヒ花崗岩で斑状粗粒〜等粒状中粒黒雲母花崗岩から構成。近くに青い絹のハダクが供えられ亀石は信仰されている。 ・泰山/中国広東省 花崗岩                                        泰山は、中華人民共和国山東省泰安市にある山。高さは 1,545m。 封禅の儀式が行われる山として名高い。道教の聖地 である五つの山のひとつ。世界遺産、世界ジオパーク ・黄山/中国安徽省 花崗岩                                       黄山風景区は面積154km²で72の奇峰からなる。仏教・道教の聖地。古代から「黄山を見ずして、山を見たというなかれ」と言われ、数多くの文人が訪れた。世界遺産、世界ジオパーク ・丹霞山/中国山東省 砂岩                                             丹霞山(たんかさん)は、主峰の標高は 618 m あり、赤みがかった砂岩が長い間の侵食作用を受けて美しい曲線美や際立った断崖を形成。陽元石、陰元石で知られる。性文化博物館。世界遺産、世界ジオパーク ・石林/中国雲南省 石灰岩・ドロマイト                                   奇観で知られる中国南部のカルスト地帯は、約2億5000万年前の中生代三畳紀から形成されてきた。石林では尖塔状の奇岩が天然の芸術のように空高くそびえている。世界遺産、世界ジオパーク ・ゴールデンロック(チャイティーヨー・パゴダ)/ミャンマー                         ミャンマー中東部、モン州にある標高約1,100mのチャイティーヨー山にある岩で仏教の聖地。巨石の上に高さ7.3mの仏塔が乗っている。巡礼者は岩に金箔を貼る。 ・エローラ石窟群/インド 玄武岩                                     古代三大宗教「仏教・ヒンドゥー教・ジャイナ教」の石窟寺院が一同に会する世界で唯一の場所。6~10世紀にかけて開窟され、石窟が互いに破壊し合うことなく、南北2Kmに及んで集結した大遺跡群。世界遺産 ・ハンピ/インド 花崗岩                                         ハンピはインド南部カルナータカ州の村で、かつてのヴィジャヤナガル朝の首都。岩の塊がいたるところに積み上げられた風景が広がる。 神話によれば、これはラーマ王子を助けた猿の援軍、ハヌマーンが敵に向かって投げつけた石のつぶてなのである。ハヌマーン寺院が点在。世界遺産 ・ペテ・ギョルギア岩窟教会/エチオピア 凝灰岩 世界遺産                                 12世紀に造られたラリベラにある高さ12m,奥行き12m.幅12mの正十字形の岩窟教会。 別名「ノアの箱舟」。 ・グレートジンバブエ遺跡/ジンバブエ 花崗岩                                    首都ハラレから南方300kmのジンバブエ高原の遺跡。1980年、南ローデシアからジンバブエ共和国として独立。 ジンバブエトは、現地ショナ語で首長、王の宮廷の意味を含んだ「石の家」という意味。世界遺産 ・バランシングストーン/ジンバブエ 花崗岩                                       首都ハラレから40kmのドンボシャーはアポストリック(キリスト教と土着宗教が合体した宗派で異端とも)の人達の祈りの場所。 岩盤には岩絵が描かれている。 ・メテオラ/ギリシャ 砂岩(古第三紀)                                      メテオラとはギリシャ語で「中空」を意味し、ギリシャ正教の6つの修道院の総称。世界遺産 ・ボヘミアパラダイス/チェコ 砂岩                                     古生代から新第三紀にわたる石灰岩やチョークを含む堆積岩類、変成岩、火成岩が分布。 ジオパークを代表するロックシティの景観を造っているのは、中生代の厚い砂岩層からなる崖。世界ジオパーク ・モンセラート/スペイン ピンク色の礫岩などの堆積岩                                 カタルーニャ州の中心部はかつて大きな孤立した塩水盆地。その起源は3,600万年前のピレネー山脈に遡る。水が蒸発したことで、独特の丸みを帯びた独特な景観を作った。モンセラートの岩山は、そのシンボルの一つ。 山の麓にサンタ・マリア・デ・モンセラート修道院がある。世界ジオパーク ・ストーンヘンジ/イギリス 第三紀の珪質砂岩やオルドビス紀の粗粒玄武岩                      世界で最も有名な先史時代の遺跡。紀元前2500年から紀元前2000年の間に建造。環状列石が四重に残り太陽崇拝と関係する祭祀遺跡。世界遺産 ・ニューグレンジ/アイルランド 花崗岩 世界遺産                                      ボイン渓谷にある紀元前3000年頃に築かれた石室墓の1つ。直径約76m、高さ約12mの巨大なハート形をしており、外壁の石には渦巻き模様が刻まれている。1年に1度、冬至の日に太陽光が墓室の奥に射し込むよう設計されている。 ・セドナのカセドラルロック/アメリカ合衆国 砂岩                            セドナは大自然に抱かれた癒しの街、スピリチュアルな街として知られ、その魅力に惹きつけられた人が世界中から訪られている。大聖堂の岩を意味する「カセドラルロック」は、セドナ4大ヴォルテックス(渦のエネルギー)の一つ。 ・メサベルデ/アメリカ合衆国  砕屑岩(さいせつがん)                                 米国コロラド州南西部にある国立公園。先住民アナサジ族が断崖をくり抜いて造った岩窟住居の集落群が 残されている。1978年、世界遺産に登録。 ・エル・ペニョール・グアタペ /コロンビア 深成岩                                  アンデス山脈に続くコロンビアの中央山脈に存在する奇岩で740段の階段を用いて頂上に上ることができる。標高2135メートルの高所にあり、比高は220m。 ・デヴィルズ・マーブルズ 花崗岩(中生代ジュラ紀)                              デビルズマーブルとは、直訳すれば悪魔の大理石(おはじき)となるが、実際は大理石ではなく花崗岩から出来ている。アボリジニの部族の1つKaytetye 族は、デビルズマーブルの事を虹色の大蛇の卵と信じている。 ・エアーズロック(ウルル)/オーストラリア 砂岩                              荒野に佇む巨大な一枚岩、高さ約350m、周囲 10km にも及ぶこの岩は、5万年程前からオーストラリアに住んでいる民族アボリジニの聖地。世界遺産 5、島根のジオパーク(隠岐ユネスコ世界ジオパーク・島根半島・宍道湖中海ジオパーク) ・鷲ヶ峰の屏風岩/島根県隠岐島町 流紋岩 世界ジオパーク 560mの鷲ヶ峰。隠岐島で3番目に高い山で全体がアルカリ流紋岩からなり、右側の西斜面には見事な柱状節理が発達している。この柱状節理は、屏風岩と呼ばれる約80mにも達する絶壁。県下でも最大級の岩場景観を形成。 ・トカゲ岩/島根県隠岐島町 火山岩(粗面岩)                                隠岐世界ジオパークを代表する奇岩の一つで、この岩を含む周囲一帯は島根県の天然記念物及び名勝に指定されている。頭から尻尾の先まで26mあり、国内で最も高濃度のアルカリ岩。世界ジオパーク ・通天橋/島根県西ノ島町 粗面玄武岩~玄武岩質粗面安山岩の溶岩 世界ジオパーク                                   海に大きくせり出した巨大な岩の架け橋。岩石の中央部が海蝕作用によってえぐりあけられたもので、大自然が創り出した造形。約7kmにわたって粗面玄武岩の海蝕崖や海蝕洞が続き隠岐最大の景勝地。 ・明屋海岸のハート岩/島根県海士町 スコリア丘                                明屋海岸は、島の女神がお産をしたという伝説の地。西側に屏風岩という切り立った大岩があり、その岩がくり抜かれ、ある場所からハート型の穴が見える。世界ジオパーク ・加賀(かか)の潜戸(くけど)/島根県松江市 旧潜戸:安山岩溶岩と火山角礫岩 仏の洞窟 親より早く亡くなった子が枕に立つ都市伝説 賽の河原 新潜戸:火山砕屑(さいせつ)岩や軽石凝灰岩 佐太大神生誕の地 母神・支佐加比売命(きさかひめみこと) が金の弓矢で岩を射通されたとき、光が射し込み明るく洞内が光り輝いたことが地名のはじまりとされる。 ・立石(たていわ)神社/出雲市 流紋岩の火砕岩                                      立石さんは、古くから雨乞いの神様。中心部にある巨石は高さ約12m、横巾約26m。現在、坂浦町庄部地区の住民によって9月に祭礼神事が行われている。祭神の多伎都比古命、全国から多くの観光客が訪れている。 ・日御碕神社/島根県出雲市                                               天照大神を祀る「日沉宮」と素盞嗚尊を祀る「神の宮(上の宮)」からなり、奈良時代に編纂された『出雲国風土記』に「美佐伎社」、平安時代に編纂された『延喜式』に「御碕社」とある古社です。 ・経島/島根県出雲市 柱状節理の石英角斑岩                                古くは日御碕神社の下之宮があった。8月7日、年一度の神事が行われる。ウミネコの繁殖地として、国の天然記念物「経島ウミネコ繁殖地」に指定されている。毎年11月下旬から冬にかけて約5000羽ものウミネコが飛来する。 ・礫島/島根県出雲市 粗粒玄武岩                                         日御碕道路から250~300mほど離れた沖合にみえる巨礫の集積した島。高さ約10mの四角柱の礫を中心に、7m前後の大きさの礫が周辺に集まっている。国譲りのときにオオクニヌシの息子のタケミナカタと高天原からの使いのタケミカヅチが力比べをして、稲佐の浜から岩を投げあった岩だという。 ・弁天島/島根県出雲市 流紋岩質火砕岩                                       「古事記」や「日本書記」で、大国主命に国を譲るよう差し向けた二神が降り立った「伊耶佐(いざさ)の小浜」  がこの地名の起源。出雲国風土記の門石島(かどいしじま)にあたる。頂上には海の神の豊玉毘古命が祀られている。 ・鯨島(クジラ島祭り)/島根県出雲市 流紋岩質火砕岩                                稲佐の浜の弁天島の近くに、鯨の形に似た岩礁があり、鯨島と呼ばれていた。日御碕への観光船が出たり、 女子の遊び場だったという。2015年4月、この岩礁を発掘するイベント、クジラ島祭りを行う。                    令和3年、護岸工事により、クジラ島は、半分がブロックとコンクリートで埋まることになった。                                                             まとめに変えて 「地球のへそ」「大地のおへそ」と呼ばれるウルル(オーストラリア) 。           ジオ多様性が、オンリーワンとしての巨石の魅力を作る。 山ガール、巨石ガール、ジオガール ツーリズムは女性の視点が重要。 ジオを思う、大地を思う、地球を思う。 全ての人々は地球の中心(おへそ)に立っている。 ジオ多様性を認め合うことで世界平和への眼差しへ