2009/12/20

奇跡のレンタカー、セドナへ

12月16日
 サンフランシスコから飛行機でアロゾナ州の州都フェニックスへ飛び、二日ほど滞在して約10日間のアメリカ西部の国立公園の石巡りの準備をして、空港近くのレンタカーセンターへ向かった。
前日、妻が予約したレンタカー会社に行くと、日本の免許証が無いと手続きをすることができないという。私は、国際運転免許証を用意していたが、オリジナルの免許証は日本に置いてきてしまったのだ。係の人は、日本から運転免許証をアメリカに送ってもらってはどうかという。それはできない。我々はそれほど時間に余裕はなかった。レンタカーセンターには10社近くの会社があったので、しかたなく他のレンタカー会社を何件か当たってみることに。すると、2社は国際運転免許証だけでOKと言ってくれた。そこで、その中の小さめ会社の人の良さそうな人にレンタカーの手配を頼むことにした。手続きをするなか問題が生じた。運転者のクレジットカードを求められたのだ。私は、これまでクレジットカードを作ったことが無く、恥ずかしながら妻のクレジットカードに頼っていたのだ。私が運転するため、妻は国際運転免許証を作っていなかった。運転者と同じ名義のクレジットカードでなければ、レンタカーを貸し出すことはできない。これは、ルールだからと残念そうに係の男性は言った。
今回は、レンタカーを諦めるしかないと思った。まったくの準備不足で、実に情けなかった。
アメリカを車で回る予定を組んでいたのだ、これからどうしようかと思案する。
そんな我々を見ていてか、しばらくして男性は「ちょっと待て」といってコンピュータをたたき始めたのだ。彼は、何と車が借りられるように手続きをしてくれたのである。どのような方法で、彼が手続きをしてくれたかはわからない。ある意味、それは奇跡のように思えた。もしかしたら、石神さまに助けられたのかもしれない。

地獄から天国にやってきたよう心境で車に乗り込む。さっそく、ホールフーズマーケットで10日間分の食料を購入しルート17号を北上し、最初の目的地セドナへ向かった。

借りた車は、三菱ギャランの新車。アメリカのフリーウエイを走るのは初めての体験だった。2時間半くらい走ると、遠くに赤い岩の奇岩の姿が目に飛び込んできた。セドナの町にやってきたのだ。町の入り口付近で車を降り、小山に上って街の背景の岩にレンズを向けた。何とも不思議な光景だ。

ベルのように見える岩は、ベル・ロックと呼ばれていた。

その光景を見ていると、どこか、おとぎの国にやってきたような気分になった。
赤い岩の奇岩群が、小さな街を取り囲み、まるで岩のテーマパークのようでもある。



セドナ、この地名を聞いたのは今から10数年位前になるだろうか。何人かの友人や知人からセドナの話を聞いていて、いつかは行きたいと思っていた場所の一つだった。ここは、何百年もの間アメリカンインディアンにとって宗教儀式、精神的覚醒、通過儀礼などを行ってきた聖なる場所といわれる。今日では、ニューエイジでスピリチュアルな土地、パワースポットともいわれ、精神世界に興味がある人にとって憧れの聖地でもある。

夕陽が傾き始めた頃、ビジターセンターで、レッドロック・クロッシングという岩の夕景ポイントを教えてもらった。そこは、公園になっていて駐車場から少し歩くと、川が流れていてその奥に見事な岩がそそり立っていた。岩を川の中から見たいと思い、裸足になって川に入る。川の真ん中で三脚を立てしばし撮影をしていると、足がしびれてきた。水の冷たさが半端でなかったのだ。それにしても、何とも神々しい岩の光景であった。

 セドナが、多くの人々を魅了する理由は、この岩の風景に違いない。ボルテックスと呼ばれる強い岩のエネルギースポットがいくつもあるといわれている。まるで、岩のテーマパークのようなセドナの町を車で走っていて驚いたのは、そこには都市生活者と同じくらい便利な商業施設が整っていることだった。
セドナは、アメリカを代表するスピリチュアル・リゾート地なのかもしれない。

             コロラド州、メサベルデの近郊にて
                                  須田郡司 拝