2009/12/23

巨石ワンダーランド、アーチーズ国立公園

 1221

 アーチーズ国立公園の入口の街モアブのモーテルでチェックインをすると、愛想のいい男性は「何でこんな寒いときに、アーチーズにやってくるんだ。1週間前に大雪が降ったときは、とても公園など見学できなかった。」といった。パスポート見せると彼は興奮して「今から20年ほど前、海軍の仕事で沖縄に2年間いた、あそこは暖かくていいところだった。」といってはご機嫌になり、片言の日本語も話してくれた。アーチーズは、幸いにも雪が少ないようでよかった。

翌日、モーテルから車で15分ほど走りアーチーズ国立公園のゲートで10ドル(車一台料金)を支払う。このレシートがあれば、一週間はフリーパスで入場できかなりお得である。我々は、ビジターセンターで、地図をもらい資料館を見学する。巨大なアーチの模型、鉱物標本の展示、書籍、ミュージアムグッズなどが充実していた。

国立公園の中に車を進めると、奇岩怪石の赤い巨岩群の景観が現れてきた。気になった巨石を見つけるたびに車を停め、夢中になって撮影をつづける。こんなに興奮して巨石群を見るのは久しぶりかも知れない。また、雪化粧の中の巨石群はどこか風情があっていい。

スリーゴシップスは、三人の人物がなにやら密談をしているようだ。

シープロックは、まさに羊のようでかわいい。

それから、メンヒルのような奇岩が現れ、しばらくするとバランスロックに圧倒された。

私は時の流れを忘れ、しばし巨石群に酔ってしまった。それにしても、これら奇岩の魅力はいったいどこからくるのであろう。駐車場で車を停める度に何人かと顔見知りになる。中国人、インド人、西欧人など様々な人種の人々と出会うが、ほとんどの人は幸せそうな表情をしながら巨石群を見てはカメラに収めている。まるで童心に戻っているような感じがした。

公園の一番奥にある駐車場に車を停め、そこから雪道を30分ほど歩くとランドスケープアーチが見えてきた。とにかくでかい。差し渡しの長さが88.4mもあり世界最長である。

次に訪ねたのがアーチーズ国立公園を代表するデリケートアーチ。駐車場から残雪残る岩の道を約40分上がって行くと、すり鉢上の岩盤の端にアーチが現れた。

高さ約14m、幅約10mのアーチは雄大に佇んでいた。まさに神の造形といった感じがした。

日が暮れ始めている中、最後にウィンドウセクションへ行く。ダブルアーチでは子供たちに遊ぶ声が響き、サウスウィンドウではサンセットの光のセレモニーが厳かに幕を降ろそうとしていた。



アーチーズの奇岩風景は実に面白い。ここは、年間約80万人の人々が訪れていて、その数は年々増えているという。心に響く巨石アーチ群は、まさに巨石ワンダーランドであった。
                 アメリカ、アリゾナ州、カエンタにて

                                 須田郡司 拝