2010/02/03

ゆるキャラ石像と出会えるサン・アグスティン遺跡公園 San Agustín Archaeological Park

 1月29日

 メデジンから夜行バスで13時間、早朝のポパヤンに到着する。我々は朝食を食べ、そのまま8時半発のサン・アグスティン行きのバスに乗った。バスが高原を上り始めると、でこぼこ道になった。標高3000m以上の山越えは空気も薄く、その上激しい揺れとほこりまみれの移動はかなりきつい。バスは何度も停まっては地元の人達を乗せる。次第にインディヘナ(先住民)の人々の顔が多くなっていった。パンクと道路工事待ちでサン・アグスティンに到着したのは、夕方4時を回っていた。その日は、街中にあるホステルに宿泊する。

 翌30日早朝、サン・アグスティン村周辺の遺跡を巡るツアーに参加する。
コロンビア人の親子、ドイツ人の女性と我々の5人は、かなり使い古されたジープに乗り込み、山岳地帯の渓谷の中へと走り出す。

ジープはかなり窮屈なうえ、またもやでこぼこ道が待っていた。
最初に訪れたのは、グラナダ川の渓谷。


巨岩の上にマリア像があり、信仰的な場所性を感じさせる。

その後、サン・アグスティン遺跡公園へ向かった。
サン・アグスティン遺跡群(San Agustín)は、コロンビアのマグダレナ川の上流の標高1200mから2000mの山岳地帯に500km2の範囲にわたって点在する独特な石彫で知られる遺跡群である。遺跡公園は、3つのサイトに別れていて、それぞれが距離的にかなり離れていた。
遺跡群の特徴は、独特な石彫にある。丸彫りや板状の石を用いた石彫は、ネコ科動物的な神格をもった半人半獣の牙を生やした怪人像、神官や戦士を表すと見られる人物像、蛇、ワニ、トカゲ、カエル、サンショウウオ、猛禽類などを刻んだ石彫が400個近く確認されているという。




これらの石像は、5世紀以降に造られたもので特に人型の石像が、ドルメン(支石墓) の前面に配置されているのが印象的である。



また、ドルメンの蓋の部分に動物や人の形をしたものがあった。


火山岩でできた石像は、大きなもので約4メートルの高さがあり、重さは数トンを超えるものもある。

これら石像群は、エジプトやインドなどの旧大陸の影響が見られるともいわれ、新大陸発見より以前に南米と旧大陸の間の交流をした可能性も暗示させる。
石像の多くは、地域の古代の住民の葬式の道具の一部とされた葬式の儀式に関連して、死者の精神的な力と、超自然的な世界観、つまりそれは、祖先崇拝を現わしていると考えられている。
 それにしても、このサン・アグステン遺跡公園の石像群を見ていると、いまにもアニメのキャラクターとして使えそうではないか。それもゆるキャラとして。印象的なのは、ヘビを咥えたワシの石彫だ。

巨大な石像のデザインは、抽象的かつ象徴的に刻まれたもので、現代のデザイナーの感覚にも劣らない。
石像たちは、古代の人々のセンスを今に伝えている。

         エクアドル、キトにて
                     郡司 拝