2012/12/18

2013年、石のカレンダーを東北へお届けする


 この度は、「2013 VOICE OF STONE CALENDAR 」を東日本大震災の被災者の方々へ届けるためのプロジェクトに多くの皆様からご賛同をいただき、カレンダーをご購入いただきまして誠にありがとうございました。
 お陰さまを持ちまして、1212日 から14日の3日間、宮城県を中心とした被災地域へ石のカレンダーを届けることができましたので、報告させていただきます。

 1211日(火)快晴。
 10日の夜、静岡市内の「Rama 日々の食卓と野菜」にて夕食と石の語りべの集いをさせて頂き、静岡に宿泊したお陰で朝日を浴びる富士山を遥拝することができた。
朝日を浴びた富士山
早朝、青春18切符で静岡駅から約10時間の列車の旅で仙台へ。
ゲストハウス梅鉢
1年前に泊まったゲストハウス梅鉢へ行くと、昨年手渡した「2012 VOICE OF STONE CALENDAR」が2階の共有スペースの壁に飾ってあった。嬉しい瞬間である。
ゲストハウス梅鉢
 ゲストハウスのオーナーは、昨年は東北へのボランティアが多かったが、今年はかなり減ってきたという。それでも、多様なゲストが宿泊していた。かつてボランティアで来ていた人、被災地支援に来ている学生、東日本大震災の被災地域を取材に来ているドイツの通信社のカメラマン、営業マンなどなど。ゲストハウスに2013年のカレンダーと湖東の巨石マップを謹呈。石の話で盛り上がる。

 1212日(水)晴。
 UNITE TOGETHERという東北復興支援の活動をされている彦根のハトムネさんからのご紹介で、東松島市にある木遊木(もくゆうぼく)の木工作家の遠藤伸一さんを訪ねる。
木遊木の看板
遠藤さんは、東日本大震災で被災したメンバーが、地元石巻で支援のサポートのために立ち上げたボランティア団体「チームわたほい」の代表をされていた。
 遠藤さんに石のカレンダーをお渡しすると「お時間ありますか?石巻と女川をご案内します」と言ってくれた。遠藤さんの車に乗せていただき震災時の体験話などを聞かせてもらいながら石巻市へ向かった。

最初に訪れたのは、「がんばろう!石巻」の看板が立てられた場所だ。
石巻市のモニュメント「鎮魂の燈」


献花
東日本大震災から1カ月、遠藤さんの友人の黒澤さんは、この場所にあった自宅兼台所関係ショールームだった店舗が津波の被害にあった。「何か自分にできることはないか、できることを形にしたい」と思い、廃材などを利用し友人の助けをかりて5日間でこのボードを製作したという。それから、この場所に亡くなった方々への献花をする人が増えてきたという。震災後1年 目の2012311日、この場所に新たなモニュメントが作られた。
「こ火は、被災した石巻地域から木片を集め それを火種としまた 東日本 大震災から一年 亡くなられた方の追悼の思い 生き残った私たちの”がんばろう”とする思い 心に残したく燈しました 2012.3.11」 と書かれていた。このモニュメント「鎮魂の燈」は、流れて来たガレキを使って遠藤さんが作られたもの。この燈を絶やさないようにと地元の方が一日に二回、灯油を足しに来ているという。
その後、渡波地区の遠藤さんの家があった場所へ。辺りは住宅がわずかに残るのみ。
「流された自分の家があった場所に来るのは、とても辛いものがありました」と言う遠藤さんは、ご自身の三人のお子さんを津波で亡くされていたのだ。
コンテナハウス(基地)
今、ここには10坪ほどのコンテナハウス(基地) が建ち、花壇や木製のテーブルと椅子が配置してあった。「基地は、UNITE TOGETHERのご支援で建ててもらい、そのお陰でここに来やすくなりました」と遠藤さんは言う。基地は、「チームわたほい」の活動の拠点にもなっている。中を見せてもらうと、UNITE TOGETHERのマークの旗、復興支援Tシャツを着たサポーターの方々の笑顔の写真などが飾られていた。
UNITE TOGETHERの旗
届けられた写真
  花壇の隣に海を見つめるように立っている三つのお地蔵さんの彫刻があった。これは、遠藤さんの奥様のリクエストで作られたもだという。
お地蔵さん
ここには、亡くなったお子さんたちの友達が、飲み物をお供えとして持ってくるという。お地蔵さんのやさしい表情を見ながら手を合わせると、どこか胸が痛む。最後に、女川を案内してもらう。ここは、高さ20m以上もの津波が来た場所で、なぎ倒されたビルを見るとその破壊力に驚かされる。この倒れたビルは、東日本大震災の記憶として保存されるようだ。
女川
  帰りがけ、「前向きに生きなければ、亡くなった子供達に申し訳ないと思うんです」と話す遠藤さんの言葉がとても印象的であった。

 1213日(木)晴。
 石巻市北上町追浜にある釣石神社へ行く。2011.3.11東日本大震災後、この釣石神社に何度足を運んでいるだろうか。先月も日本財団のまつり基金の取材で雄勝町の新山神社の祭典前、釣石神社をお参りしていた。
釣石と鎮魂碑
釣石神社
ご神体の釣石を見ながら石段を上がり釣石神社を参拝する。釣石の上から北上川の河口を望むと、海が近くまで迫っているように見えた。土地の整備が始まっているのか、神社がある追浜地区にはダンプカーが頻繁に走っていた。
 石巻市雄勝町大浜にある葉山神社へ伺う。葉山神社は背後の山、石峰山に鎮座する石(いその)神社の里宮である。昨年5月、初めてこの石峰山を登り石神社の磐座を見た時の感動は今でも忘れられない。
 葉山神社の千葉宮司にお会いし、雄勝法印神楽保存会と氏子さんへと石のカレンダーをお渡しする。
葉山神社宮司、千葉さん
  津波により半壊した拝殿は、取り除かれ本殿が傾いた状態で残されていた。
葉山神社
この本殿を移動するだけで100万円の費用がかかるとのことで、自身で解体されるという。千葉宮司は、来年には高台に同じ大きさの葉山神社を再建したいという。再建には7,000万円もの建設費用がかかるためどのように工面したらよいかと思案されていた。
僅かではあるが神社再建のための復興支援金をお渡しさせていただく。
「雄勝町の中心部は震災前は、かなりの家がありました。震災後、がれきも無くなった被災地の道路を走っていると、もともとここには何も無かったのではないかと思えてしまうことがあります」 千葉宮司はいう。

  その後、石巻市北上支所仮庁舎で市職員の岸浪さんと再会。岸浪さんは、釣石神社の宮司でもある。昨年に引き続き、石巻市立橋浦小学校へ行き校長先生にカレンダーをお届けする。
石巻市立橋浦小学校
石巻市立北上中学校
校長に寄れば、これまで津波で二つの学校が流されてしまったため、三校を一つの学校で共存していたが、来年には北上小学校として一つに統合 されるという。次に北上中学校にカレンダーを届ける。今回、岸浪さんが住んでいる仮設状宅の方々へカレンダーを届けることを依頼し、釣石神社への復興支援金をお渡しさせていただく。

1214日(金)快晴。
 昨年に引き続き、「てんたん人形劇場」 の土屋転太さんのご案内で宮城県南部の児童施設へ向かう。土屋さんには、昨年訪ねた施設をできるだけ再訪したいことをお願いしていた。土屋さんの車に乗せて頂きながら、亘理町、山元町の幼稚園や保育所などを案内していただく。
 津波で流された二つの幼稚園が、公益財団法人日本ユニセフ協会によって建設され寄贈されていた。ある幼稚園の園長先生に施設を案内していただくと、とてもお洒落な建物になっていた。木造で大きなガラスで作られた幼稚園は、一見、レストランのようにも見える。
新築された幼稚園
サンタクロース
園長先生は、新しい幼稚園の施設を喜ばれていた。日本ユニセフ協会は、あくまでも建物だけの支援だという。園内の他の備品は、自前で用意しなければならない。真新しいピアノを見ると、あるロータリークラブからの贈呈と記されていた。職員室に、どこかでみたことのある石像が飾られていた。園長先生に「ひこにゃんですか?」と尋ねると、「彦根ロータリークラブからいただいたものです」と言われた。
石像ひこにゃん
 昨年、ある児童がハートの石を拾ってひまわりの鉢の中に入れていたが、その石は、園長先生が大切にされていた。ハートの石が入った鉢には、今年になって三代目の小さなひまわりが成長していた。
ハートの石とひまわり
  昼食時、亘理町にある「亘理いちごっこ」という仮設の食堂へ行く。
亘理いちごっこ
土屋さんは、「亘理いちごっこ」の代表理事をされている馬場さんをご紹介下さった。「亘理いちごっこ」とは、宮城県亘理町のコミュニティス ペースで、3.11の炊き出しから発足し、現在は軽食の提供を中心として心のケアサポート活動や子供の学習支援活動、地域のイベントなどを運営している NPO法人である。馬場さんは、この活動を永続的に続けて行きたいと願い、来年には施設を建設することを計画していた。
角田市のある保育所を訪ねた後、そらを仰ぐ夕日を浴びた見事な昇龍のような雲が上がっていた。
角田市の昇龍
 その日は、亘理町、山本町、角田市の保育所、幼稚園、図書館などを巡り、最後は仙台市内の児童施設へ。トータルで、15カ所もの施設に石のカレンダーを届けさて頂く。土屋さんには、一日、たっぷりとお付き合いいただい本当にお世話になった。

帰りがけ、数年ぶりに仙台で活躍する画家・山田大輔君と再会する。彼は、約一年前に仙台駅から近い場所に植木鉢と絵の店、33工房(仙台市青葉区本町2-10-5)をオープンさせていた。店に入ると、艶やかな原色の世界、ワンダフルワールドが広がっていた。ポストカード、絵画、バケツ、腕時計・・・・、何とも奇才を放つ店。
山田大輔の33工房
33工房
「3・11 花のない景色が見えました。 また太陽は昇り 33(サンサン)と照らし 色を咲かせ  育てる  そんな小さな工房。 芽出たく開店しました。  山田大輔&33工房」(山田大輔ブログ 33工房の決意 より)
 大ちゃんにカレンダーを渡し、仙台駅から関西方面行きの夜行バスに乗り、カレンダーを届ける旅を終える。

今回の旅で、石のカレンダー420冊お届けすることができました。

2013 VOICE OF STONE CALENDAR を購入して下さった皆様方へお礼申し上げます。そして、昨年に引き続き素敵なデザインでカレンダーを仕上げてくれたスタジオM.O.G.の森内淳さんに感謝致します。
2012.12.19 VOICE OF STONE プロジェクト代表 須田郡司 拝


追伸:2013 VOICE OF STONE CALENDAR は、まだ在庫がございます。お求めの方は、気軽にお申し込み下い。
お申し込みは、info◎voiceofstone.com(◎を@に変えて)まで。