2009/08/18

アイルランド、カロウモアの巨石墳墓

8月11日
 ベルファーストからスライゴーに移動し、ホテルにチェックインしてからカロウモア遺跡へ向かった。
カロウモア遺跡は、アイルランド最古の遺跡で紀元前5000年代半ばから3600年頃までに造られた巨石墳墓の遺跡だ。
 我々は、スライゴー市内からカロウモア行きの市内循環の最終バスに乗った。バスはスライゴー郊外にある牧場へとゆっくり上って行く。30分ほど走り、バスは石の遺跡群の前に停まった。
私は、15年ぶりのカロウモア遺跡との再会に興奮しながらバスを降り辺りを見渡した。すると、昔の記憶と様子が少し変わっていた。遺跡近くには、ビジターセンターができ、遺跡群の周りはフェンスで囲われていたのだ。
さっそくビジターセンターで入場料(€3)を払い、案内ガイドを参考にしながら遺跡群を探索する。15年前に来たときには気づかなかった、いくつもドルメンがあることを知った。
 カロウモアの巨石遺跡は広大な巨石墓地で、パッセージグレーヴ(墓地と羨道部{墓地に続く道}を持つ石室墓)があり、60基もの墳墓がある。かつては100基以上あったと考えられ墓の数が際立っているのが特徴だ。

このカロウモア遺跡は、炭素14による年代測定に寄れば、BC5800~6400年の間に活動の痕跡があるという。そうだとすると、アイルランドを代表する石室古墳であるニューグレンジより古いものと考えられる。
 懐かしいドルメンは、やや離れた牧場の中にあった。フェンスを越えて中に入ると、黄色い花が咲き乱れた丘にドルメンが鎮座していた。ドルメンの周囲にはストーン・サークルが配置され、その背後にノックナリー山が見え実に美しい。
カロウモアを見下ろしているのが、「女王メーヴの墓」で知られる古墳で、ノックナリー山の頂にある石塚である。 これは、ピナクルとも呼ばれる。一番、大きなドルメンは、このノックナリー山と方角を合わせて正確に配置されていると考えられている。

 カロウモアの遺跡群は、15年前と変わらぬ存在感を持って佇んでいた。
しかし、驚いたのはストーン・サークルの背後に工場施設が建っていたことだ。カロウモア遺跡が私有地に囲まれているとはいえ、その近くに工場を作ることは残念でならない。

 カロウモアの巨石群を見ていると、エンヤの歌が響いてくるような気がする。このスライゴーには、ミュージシャシンのエンヤが住んでいるという。彼女は、このカロウモア遺跡からケルトやそれ以前の古層文化から様々なインスピレーションを受けていたのではないだろうか。

               アイルランド、ダブリンにて 郡司 拝