2009/12/26

雪道の洗礼、アメリカの原風景 モニュメントバレーとグランドキャニオン

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早朝、目を覚ますとモアブの町に小雪がぱらついていた。天気予報を見ると今日は一日中雪。昨日、晴れたアーチーズ国立公園に行けたのは奇跡のように思えた。今日は、モニュメントバレーへ移動する予定だ。チェックアウトをして車を走らせると、次第に積雪も増えていった。まさか、アメリカで雪道をチェーンも付けずに走るとは夢にも思わなかった。視界もだんだん悪くなる。とにかく、ゆっくり安全運転で走ることにする。30分ほど走ると、後ろから除雪車が二台やってきたので先に行ってもらい、しばらく後を着いてゆく。白一色の景色がずっと続く。休憩するために脇道にも停車できない状態が続いたが、3時間半でようやくモニュメントバレーに到着する。さっそくビジターセンターへ行ったが、雪と霧で真っ白な世界が広がっているだけだった。駐車場で2時間くらい待ってみるが霧ははれそうもなく、残念ながら諦めることにした。その日は近くの町ケイエンタに宿泊する。


 翌朝、車に5cmくらいの雪が積もっていたが天気は良い。我々は再び、モニュメントバレーへ向かった。昨日の雪は、ほとんど解けて走りやすくなっていた。入場料10ドル(二人分)を払い、ビジターセンターへ行くと昨日まったく見えなかった場所に、三つの岩が見えていた。モニュメントバレーは、何度か映像でみた事のある光景だが、実際見るとやはりすごいものがある。私は、しばらくその岩を何度も何度もカメラに収めていた。風で雲が動かされ、雪に覆われた大地と岩に当たる光が少しずつ変化する光景が美しく、しばし釘付けになっていた。


 三つの岩は、左からLeft Mitten(左の手袋) Right Mitten(右の手袋)Merrick Butte(孤立した岩)と呼ばれている。今回、雪のためモニュメントバレーの奥には行けなかった。しかし、この三つの岩を見るだけでもどこか神聖なものを感じた。まさに、三位一体的なシンボリックナな岩の世界を現しているようだった。

その後、グランドキャニオン国立公園へ向かう。ゲートで入園料(車一台25ドル、一週間有効)を払い、最初にデザートビューへ行く。雪の残る駐車場から凍結した道をゆっくりと5分ほど歩くと断崖上の展望台へ着く。そこには、巨大な峡谷が広がっていて遠くにコロラド川が見え、岩峰に刻まれた地層が地球の記憶を感じさせる。




今から約4000万年前、コロラド川による浸食が始まり、500万年前にほぼその峡谷の全容が現れた。現在見られる峡谷になったのは、約200万年前。侵食は今でも続いていて、最古でおよそ20億年前、原始生命誕生時の地層を侵食していると言われている。

次に、リパン・ポイントへ行く。ここは、谷の底まで見渡すことができ、コロラド川と岩峰のコントラストが実に見事だった。



最後にグランド・ビュー・ポイントへ行く。積雪のため、道路から雪道を20分ほど歩いて展望台へ。何人かの観光客がサンセットの峡谷を撮影していた。ちょうど、太陽の光が岩に隠れようとしていた。やがて、峡谷の岩峰の頂上部分が最後の輝きを見せ、静寂な闇の世界へ移行しつつあった。



何とも贅沢な一日の終りを味わうことができた。

このグランドキャニオンには、年間400万人の人々が訪れるアメリカで最も人気のスポットである。

モニュメントバレーとグランドキャニオンは、まさにアメリカの原風景を感じさせた。

              アメリカ、アリゾナ州、フェニックスにて

                             須田郡司 拝