2010/04/13

ピナクルズPinnacles、6千万年前の記憶、太古の原生林

 4月10日
 パースで最も人気のあるピナクルズの日本語ツアーに参加する。それにしても、前日のウエーブ・ロックといいオーストラリアは岩の観光スポットに人気があるとは実に興味深い。

 パースから車で3時間半、海岸に近い砂地には無数の奇岩が広がっていた。中に入ると、まるで古代遺跡の祭祀場にいるような錯覚に陥った。メンヒルのような石柱が無数に立ち並んでいて、荒野の墓標のようだ。

 ピナクルズの丘のデッキから見える光景は、フランス、ブルターニュ地方に点在するカルナックの列石群を彷彿させるものがあった。

 ピナクルズとは、「尖塔群」を意味し、ナンブング国立公園にある奇岩群である。
赤茶けた砂漠にそそり立つ何百もの岩の正体は、原生林が枯れ、中に堆積した石灰層だけが残ってできた風化でえぐられ残った地層だ。 植物が根を張っていた部分は風化でえぐられ、根が張らなかった部分の堅い地層が奇岩となって地表に露出したものだ。高いもので全長4mもあり、何かをイメージさせる奇岩があちらこちらに点在し、想像力をかきたててくれる。






 この風景は、海や大地や雨や風が、悠久の時の流れを経て形成されたもの。長い時間を掛けて、風が砂を吹き飛ばすことで、石灰岩の尖塔が現れた。ピナクルズは、実に六千万年かけてできあがった奇岩風景だという。先住民のアボリジニがオーストラリアに移住したのは五万年前。英国人が入植を始めたのはわずか220年前のことだ。まさに、遥かなる地球の記憶を感じさせる景観である。
 ここを訪れる多くの観光客は、まるで童心に戻ったように奇岩に対し無我夢中でシャッターを押していた。そして、奇岩と一緒になって記念写真を撮る事がまるで儀式のようである。



 太古の記憶を感じさせるピナクルズの奇岩群は、現代版の聖地といっても過言ではない。
     
           アリス・スプリングスにて
                       郡司 拝