パラニの丘のムルガン寺院から夕日が沈む辺りに巨大な岩があった。その岩はとても存在感があったので地元の人に尋ねるとそれは“アイベルマライ”と呼ばれる岩山でシヴァ神を祀る山だという。私は、さっそくその岩山を訪ねることにした。
6月4日
パラニのバスターミナルから、アイベルマライのあるパーパンパッティーという村に向かった。車掌にアイベルマライのことを告げると、30分くらい経って降りるように指示される。一緒にバスを降りたインド人は車掌に頼まれたらしく、私をアイベルマライに行く道まで案内してくれた。
その道は農場の中にある一本道で、まっすぐ伸びていた。しばらく歩くと前方に二つの岩山が見えてきた。右側の岩がアイベルマライだと思い赤土の大地の上に起立する岩の塊に向かって足を進めた。
材木を運ぶトラックが通り過ごしたと思ったら前方で停まった。荷台に乗っていた若者がここに乗れとゼスチャーをしたので、しばらく荷台に乗せてもらう。
その後、また歩きながらようやく岩山の麓に辿り着く。とにかくでかい。アイベルマライは、まるで大地から突き出たような岩塊で、その姿に威厳すら感じた。
アイベルマライとは別に道路を挟んだ反対側に、もう一つ小さな岩山があった。岩に下に寺院があったのでお参りをして僧侶に岩山のことを尋ねることにする。
この岩山はヴィナヤールと呼ばれ、下にあるのがヴィナヤール寺院、中腹にある岩屋がグルジ寺院、山上にあるのがムルガン寺院で、この岩山には三つの寺院があった。
私はそれぞれの寺院を巡りながら山上の巨岩に上った山上近くには水が貯まったプールがあり、その背後の断崖には切り立った巨石があった。そこからアイベルマライを望むと、何とも凄い迫力を感じた。
僧侶は、このアイベルマライの岩上には洞窟がありそこに何年も修行しながら住んでいる行者がいることを教えてくれた。また岩上にシヴァ神を祀る小さなお寺もあるという。
アイベルマライの岩山は案内人なしでは登るのはむずかしいといわれ、残念ながら登拝はできなかった。
しかし、この山は遠くから見ただけでも神々しさが伝わってきた。
帰りがけ、参拝に来た二人のインド人がバス停まで案内してくれた。バス停に近づいた頃、インド人の知り合いでアイベルマライの岩山に上って瞑想しているという人とばったり出会い、私を紹介してくれた。
彼は和尚の弟子でラマナパーダというサニヤシンネームを持っていた。
私は、しばらく彼の家に招かれアイベルマライの事を聞くことができた。彼はアイベルマライの近くで養蚕をしながら何人かと共同生活をしているという。アイベルマライには、新月に登って瞑想をするという。また、山上に住む行者のこともよく知っていた。アイベルマライの山上、洞窟の写真なども見せてくれた。
彼は、かつてチェンナイで学生時代を過ごしたが、都会の生活を離れこの聖なる岩山・アイベルマライの近くで生活する道を選んだという。
その後、彼はバイクでバス停まで送ってくれた。
アイベルマライは新月に、ヴィナヤールは満月に登拝するという。
この二つの岩山は、まるで陰と陽の関係性がある。そして、南インドの岩山はとてもスピリィチュアルなものがある。
いつの日か、このアイベルマライを登拝したいと思いつつパーパンパッティーの村を後にした。
チェンナイ空港にて 郡司 拝
追伸:今後の予定
6月8日、トルコのイスタンブールへ、カッパドキアをめざします。