2009/04/23

桂林の岩巡り

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韶関から夜行列車で早朝の桂林に到着する。10時間の硬座での旅は、ほとんど睡眠ができない状態だった。

ホテルの客引きの案内に身を任せ、駅前のホテルに宿を決める。

何と朝9時からチェックインができ、身体を休めることができてありがたかった。

午後、小雨混じる桂林の街を歩く。少し蒸し暑いが川や湖の景観が心を和ませてくれた。街の背後には、こんもりとした岩山の姿がかすかに見え不思議な雰囲気を醸しだしていた。


桂林は広西チワン族自治区の北東部に位置し、山水画を彷彿させる山々に囲まれた観光都市である。特に、南北を流れる灕江沿いは、カルスト地形の名勝地として知られている。秦(紀元前221207)の時代、ここに桂林郡を設置してからすでに2000年以上の歴史が経つが、桂林は嶺南地方(広東省と広西チワン族自治区)の政治、経済、文化の中心地として栄えてきた。市内には、国宝級の重要文化財が数多く点在している。


20日、我々は灕江下りのボートツアーに参加する。

桂林からバスに乗り約1時間で灕江へ、そこから100人ほど乗れる大きなボートに乗り川下りは始まった。










川には、次から次へとボートが走行していて、まるで数珠繋ぎ状態の多さに驚く。ボートのほとんどの客は中国人観光客で、彼らは岩山を背景に記念写真をとることに夢中であった。

4時間あまりの船下りの旅は、奇岩・怪石のカルスト地形に堪能することができた。

ボートツアーの後、お寺、鍾乳洞、民俗観光村などを巡った。


月亭山という、岩山に穴が空いていてその形が月に似ていることから月亭山の名前が付いている。遠くから見るだけでも実にユニークな地形だった。


また、かつての村はかつての少数民族の村をそのまま観光地化しているような処で、そこには驚くほどの巨木が佇んでいた。


ここは、古くからの村にとって重要な場所だったに違いない。今では、観光地として民族衣装を着た若い女性が観光客を相手に写真を一緒に撮ってお金をもらうという俗的な雰囲気だけが目についた。


21日、桂林市内にある七星公園と象山公園を巡る。

七星公園は、公園内の岩並みが北斗七星に似ている事からそう呼ばれる桂林一の大きな公園だ。

ここには、山水画の景観や古くからの石碑があり、地元の人々の憩いの場所になっていた。

また、駱駝山という駱駝に似ている面白い奇岩があった。この山はかなりの人気スポットらしく、多くの観光客達の記念写真スポットになっていた。


公園内には動物園もあり、多くの動物の待遇と天と地ほど違うのが熊猫(ジャイアントパンダ)の施設である。月の輪熊などは、畳6畳ほどのスペースしかなかったのに、熊猫は室内スペースと野外スペースを合わせ持ち、池も備えてあり広々としていた。さすが、中国が国家規模で大切にしている様子がわかる。


象山公園は、灕江と桃花江の合流する地点にあり園内には象鼻山、普賢塔、雲峰寺、桂花酒博物館などがある。

何と言っても、山水画で象徴な場所は象鼻山だ、象が灕江に鼻を入れて水を飲んでいる姿そのものだ。


象鼻山の麓にある雲峰寺は、岩に仏が刻まれていて岩そのものをご本尊にして信仰されていた。


象鼻山の山頂から桂林の街を見下ろすと、川と町並みと岩山が、どこかハーモニーを奏でているように思えた。

桂林は、自然が作ったカルスト地形と人間の営みが長い年月の間に洗練されてできた歴史的な景観と言えよう。




                    雲南省昆明にて   郡司 拝