2010/01/21

精霊の宿る二つの岩山、La Puerta Del Diablo(悪魔の門)

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 グアテマラシティを13時に出てエルサルバドルの首都サンサルバドルに到着したのは午後7時を回っていた。サンサルバドルは治安が悪い、との情報を聞いていたため、今回はTICA国際バスターミナルの中にあるホテルに泊まることにした。ホテルの前には、ライフル銃を持ったガードマンが24時間体制で警備をしていた。近くの商店は、鉄格子の中にあった。

 翌20日朝、タクシーで観光案内所に行って、バルボア公園の近くにある「悪魔の門」と呼ばれる岩の情報を聞き、我々は、いつもと違った緊張感でミニバスに乗ってバルモア公園へ向かった。サンサルバドルの街は、銀行、商店、ターミナルなどには必ずといっていいくらい銃を持ったガードマンがいて、市場など人が多く集まる所に警察官が警戒をしていたのだ。これほどまでにライフル銃や拳銃を持った人が、普通に街中にいることは日本人には想像できない。治安が悪いせいか異常なくらいの銃社会なのに驚く。いっそうのこと、玩具のライフルでも買って、護身用に持って歩こうかなどと思った。

 ミニバスはかなりのスピードで、サンサルバドルの南へと進み、30分ほどでバルボア公園入口へ、さらに公園から歩いて15分ほどで巨岩が見える広場に到着した。

かなりの観光地らしく、いくつかの店が営業をしていた。しかし、そのほとんどは休業中で、たぶん週末には大勢の人々で賑わっているのだろう。お土産屋の前を通り岩に近付くと、岩と岩の間が切り通しになっていて、その奥に富士山のような山が見えた。

この場所は、左右二つの大きな岩山があり、そこをくぐると谷底に穴があいているため「悪魔の門」と呼ばれている。

私は、さっそく悪魔の門と呼ばれる左右の岩山を目指すことにした。左の岩山は中腹に洞窟状の空間があり、その中から外を見ると、右側の岩山を見ることができる。



洞穴の中は、どこか霊場のような雰囲気があった。それもそのはず、ここは、かつて先住民から「精霊の宿る場所」と信じられていたのである。

今では、サンサルバドルの岩の景勝地としてかなりの人気スポットだという。ただ、谷底はゴミ捨て場になっていて、岩にはたくさんの名前が落書きのようにかかれていているのを見ると残念だ。

また、かつて内戦時には、この谷底には幾体もの死体が投げ込まれたという悲しい歴史もあるという。

洞窟から見える岩山を登ると、左の岩山を俯瞰してみることができた。

さらに左の岩山の裏に登山道があったので上ってゆくと、岩の割れ目に鉄の梯子がほぼ垂直に伸びていた。

一気に梯子を上り、崖を上ってゆくと空く悪魔の門の岩の上に出た。そこから富士山のようなパンチワルコ山と、イロパンゴ湖を望むことができた。

やはり、ここは聖なる岩山であるとつくづく思った。だからこそ、多くの人々にとって憩いの場所でありつづけているのだろう。


     ニカラグア、グラナダにて

                        須田郡司 拝