2009/09/04

ポルトガル、エヴォラ・巨石三点セットの迫力

 9月2日

8月31日、スイスからポルトガルのリスボンへ飛ぶ。物価高のスイスからポルトガルに来ると、かなり物価
も安く旅人には助かる。ラテン系のポルトガル人は、どこかいいかげん(良い加減)で面白い。

 リスボンから東へバスで一時間半、かつてポルトガルの王宮があった街エヴォラに到着する。
我々は石畳の町を歩きシティーセンターにある観光案内所へ向かった。エヴォラの巨石情報を尋ねると、15㎞くらい離れた郊外にあるという。その上、バスなどの公共機関では行くことが出来なかった。レンタカー、レンタルバイクなどを調べ何軒か連絡するが、空車は無かった。仕方なく、片道だけタクシーで行くことにする。
 案内所でもらった巨石パンフレットによれば、エヴォラには三つの代表的な石の遺跡があった。それらの遺跡は先史時代(紀元前4000~3500年)に造られたものだという。
 我々を乗せたタクシーは15分あまりで、アルメンドレスのクロムレック(環状列石)へ運んでくれた。
駐車場には数台の車が停まっていて、クロムレックイの周りを10人くらいの人々が見学している。人々は興味深そうに石の周りを散策したり、石の上に乗ったりしていた。

 クロムレックは、周りを木々に囲まれ見晴らしの良い丘に立っていた。石の高さ1~2mくらいあり、それぞれが個性的な形をしている。直径56mもの環状と内部に95個の石が立ち並んでいた。かつては100個あっいたという。ある石には、丸い模様が彫られていて宗教的な意味合いを暗示させる。楕円状に並べられた石は、どのような目的で造られたのだろう。

 その後、我々は徒歩で来た道を戻りアルメンドレスのメンヒル(石柱)へ向かった。
どんぐり畑の道を20分ほど歩くと、メンヒルの看板が見え、そこから細い道を5分ほど歩くと高さ3mものメンヒルが一つだけぽつんと立っていた。
メンヒルに近付くと、シンプルだがとても存在感がある。石の上部には何かの印のようなものが彫られていた。
ここでは、毎年7月にお祭りが行われるという。
 最後に向かったのがザンブジェーロのドルメン(支石墓)だ。
アルメンドレスのメンヒルから1時間半ほど歩き、徒歩で行くのもきつくなり我々はヒッチハイクを試みる。二人でヒッチハイクをするのは初めてだった。行き先を紙に書き、通りすがりの車に向けて紙をかざす。なかなか停まってくれない。10台目くらいでようやく車が停まってくれた。子供連れのご婦人は、子供たちを乗馬クラブに送ってからザンブジェーロのドルメン入口まで運んでくれた。
 牧草地の中の道を10分ほど歩くと、大きな天井が付けられたドルメンの姿が現れた。
かなり破壊された状態だが非常に大きなドルメンだ。奥の部屋は高さ約8m、7つの巨石を立てて多角形の部屋を造っていた。
宗教的な施設のように見える。今は、入口が木で塞がれていて中に入ることはできない。中を覗くと、誰かが配置したのか小石がスパイラル状に並べられていた。
このドルメンの本来の状態を見ることができたらどんなに素晴らしいことか。こんな迫力のあるドルメンは、今まで見たことが無かった。

 クロムレック、メンヒル、ドルメンなどの巨石3点セットがこのエヴォラに存在する。いやそれどころか、石の遺構が300箇所近くも点在しているというのだ。ポルトガルの巨石文明はとても迫力がある。
ドルメンからの帰路、エヴォラまでの8kmの道のりを無事にヒッチハイクできたことは言うまでもない。


                   ポルトガル、リスボンにて 郡司 拝