2009/09/13

スペイン、サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼者

  9月11日

 カトリックの聖地、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂には多くの人々が集まっていた。これから正午のミサが始まろうとしていた。参列者の中で一際目立っているのがリュックを背負った巡礼者達だった。彼らは、巡礼路を歩いたという達成感が身体全体からあふれ出てどこか恍惚感すら漂わせていた。
 サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路は、主にフランスから巡礼の中心地であった都市を拠点に4つの道 「トゥールの道」「リモージュの道」「ル・プュイの道」「トゥールーズの道」がピレネー山脈に向っている。ピレネー山脈からサンティアゴ・デ・コンポステーラまで800kmから900km、「ル・プュイの道」で約1500kmの距離もあり、一日平均30kmを歩くとして50日はかかる。面白い事にサンティアゴ・デ・コンポステーラで巡礼者の証明書がもらえる人は、徒歩で100km以上、自転車で200km以上という条件があるという。
 サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂には、椅子に座れないくらい多くの人々が集まっていた。正午を合図に シスターの賛美歌が大聖堂の中に響き渡った。それに合わせて何人もの参列者が唱和する。それから司祭が入場し、厳かにミサは始まった。


聖堂の歩くと、多くのリュックが柱に立てかけられていた。徒歩で巡礼した人達のものだ。リュックには、貝や瓢箪が付いている。このホタテ貝は、巡礼のシンボルになっている。巡礼者は巡礼の証としてホタテ貝をぶら下げて歩き、水筒かわりに瓢箪を持った。

ミサの主役は、どうも巡礼者のようだ。彼らは、何日も歩き最終地点であるサンティアゴ・デ・コンポステーラにやってきて、このロマネスク建築の壮大で美しい大聖堂の中で祝福を受けるのだ。
 ミサが行われている中、前の方の柱に持たれて眠っている若者がいた。その表情は、巡礼を終えた達成感と安らぎの中、ミサを子守唄のように聞いて眠っているように見えた。

外の広場に出るとサンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を見ている二人の若い巡礼者がいた。一人は座り、一人は寝転んでいる。彼らは、巡礼の旅を終えどのようなことを感じているのだろう。

このサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指す巡礼者は、年間数万人に上るという。
私は、いつかこの巡礼路を歩きたいと願いつつ、サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂を後にした。

     道に埋め込まれたホタテのマーク

                  スペイン、ビトリアにて 郡司 拝