2009/09/06

ポリトガル、ファティマ・平和の天使出現と巨石

 9月3日

リスボンのバスターミナルから北に一時間半でファティマに到着した。小さなバスターミナルの売店には、キリスト教の関連グッズが処狭しと並べられている。町中へ近づくと、たくさんの土産物屋、レストラン、ホテルなどの施設が点在していた。さらに進むと、広大な空間が現れその奥に教会が建っていた。これが、ファティマの大聖堂だ。ファティマの案内所には、日本語のパンフレットまで置いてある。

1917年5月13日、ポルトガルの地方都市ファティマで3人の牧童達(ルシア、ジャシンタ、フランシスコ)は突然、一条の光が輝き、そこに手にロザリオを持った太陽より光り輝く一人の婦人の姿を見た。婦人は、毎月13日に同じ場所へ会いに来るように命じた。子供たちは様々な妨害にあいながらも婦人に会い続け、婦人から様々なメッセージを託された。それが「ファティマの予言」である。その婦人とは、聖母マリアのことである。
聖母マリアが現れた場所には、「ご出現の聖堂」が建てられ、そこでは熱心に祈る人々の姿があった。
大きな敷地を歩きながら大聖堂に行くと、ミサが執り行われていた。賛美歌の歌が、堂内に響き渡り敬虔な趣を醸しだしていた。

ファティマの聖母は、カトリック教会が公認している聖母出現譚の一つである。
聖母が出現する前の1916年春頃、「平和の天使」と名乗る少年がファティマの3人の牧童の前に現れ、祈りの言葉と額が大地に着くように身をかがめる祈り方を教えた。平和の天使が第一回目と第三回目に訪れた場所だ。その場所は、大聖堂の東約2kmにあるLOCA DO ANJOと呼ばれる場所だ。
ファティマの案内所でもらったパンフレットを見ると、天使出現の銅像の写真が載っていて、その背後に石があった。私は、その石が気になりさっそくLOCA DO ANJOへ行ってみる。蒸気機関車風、連結バスで20分ほど乗ると、その近くにバスは停まった。お土産屋を横目に見ながら10分ほど歩くと、もう一つの聖母出現の場所があり聖母の銅像が建てられていた。
さらに遊歩道を歩いてゆくと、鉄のフェンスで囲われた場所が現れた。
その中に、3人の牧童と「平和の天使」の白い銅像が立っていた。
ここがLOCA DO ANJOかと思いつつ、中を覗くと石があった。フェンス越しにその周りを観察すると、フェンスの中にはいくつもの巨石が点在し石には苔が生えていた。まるで日本の磐座のような雰囲気ではないか。

ファティマの予言は、主に悪魔と地獄の現存、人類の危機(核戦争の暗示)、教皇暗殺の危機などの三つだという。
カトリック教会において、このファティマは重要な聖域として多くの巡礼者が訪れていて、その数は、年間約400万人だという。 このファティマの聖域を訪れる前は、そこに巨石があるとは想像できなかった。しかし、この「平和の天使」出現のLOCA DO ANJOの巨石を見ながら、聖域と巨石との関連性があることをあらためて実感できた。

ポルトガル、ブラガにて 郡司 拝