2009/09/20

スペイン、ビトリア・ドルメン巡礼

 9月13日

 スペイン北東部のバスク地方のアラバ県に先史時代のドルメン(巨石墳墓)があることを知り、我々はアラバ県の中心地ビトリアへ向った。 サンティアゴ・デ・コンポステーラから夜行バスに乗り8時間あまりでビトリアに到着する。早朝のビトリアの街を散策しながら観光案内所を訪ねる。ドルメンのことを尋ねると、いきなり大きな地図を取り出してくれた。それはアラバ県の地図でその中にいくつかのドルメンが記されていた。
 我々は、手頃なホテルを探してチェックインし、さっそくビトリア近郊にある二つのドルメンを目指す事にした。
ビトリアバスターミナルを出発したバスは30分ほどでエギラス村へ到着する。そこで偶然一緒に降りた村の青年は、ドルメンの行き方を親切に教えてくれた。この村にはアラバ県を代表するアイスコメンディのドルメンがあった。
バス停から高速道路を潜り、徒歩で15分も歩くドルメンはあった。ドルメンの背後は盛り土になっていてかつては埋まっていたことが想像できた。ドルメンの入口には駐車場があり、そこから数十mほど歩くとドルメンが現れた。
横には説明書きをした看板がある。5つの垂直の石柱は石灰岩からなっていて、テーブル状の石を支えていた。

ドルメンに近付き中へ入ると、二つの石柱に鉄の棒が食い込んでいた。
それはドルメンが崩れないために付けられたようだが、何とも痛々しい。周囲を回って見ると、ドルメンの遥か彼方に山が見えた。ドルメンは、この山を目印に作られているように思えた。

その後、我々はアリサラ村のソルギネチェのドルメンへ向った。
その日は土曜日だったためバスの便が極端に少なかった。次のバスが来るまで数時間もあったため、ヒッチハイクを試みる。しかし、車はほとんど通らずたまに通っても停まってくれなかった。そこでヒッチハイクを諦め徒歩で行くことにする。田園風景を見ながら歩くのも悪くない。お遍路をしている時のことを思い出しながら歩く。
1時間半ほど歩くと道路沿いにソルギネチェのドルメンの看板が見えた。
歩いていると3.5kmの数字が遠く感じた。ようやくソルギネチェの村に入り、村人に行き方を教えてもらう。民家を過ぎさらに牧草地を歩くと遠くにドルメンが見えてきた。
畑の小道を歩くと駐車場があり、その奥の丘にドルメンはあった。 近付いてみると上に乗っているテーブル石が斜めに傾いていた。かっこよいドルメンだ。
周りをゆっくりと眺めながら撮影をする。
このソルギネチェのドルメンは、別名「魔女の家」と呼ばれていた。どのような伝承があるか分からないが、魔女とドルメンとのつながりは興味深いものがある。
 紀元前2500年頃に造られたといわれる二つのドルメンは、少し距離は離れているが、まるでセットのように配置されているように見えた。これらのドルメンの近くには、サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼路がある。
我々は、結局4時間近くドルメンからドルメンを歩いたことになる。この10kmあまりの行程は、実に心地よいドルメン巡礼だった。

                        モロッコ、マラケシュにて 郡司 拝