2009/09/09

ポルトガル、ヴィエイラ・ドゥ・ミンニョオの聖母ラッパを祀る石の教会

 9月7日

 ブラガよりバスで1時間半、我々はヴィエイラ・ドゥ・ミンニョオの村にやってきた。
ここには、聖母マリアを祀るいくつかの教会がある。聖母マリアは、地方によって様々な別名があり、セニョーラ・ダ・フェを祀る教会とセニョーラ・ダ・ラッパを祀る石の教会があった。
そこに行くには交通手段が無かったので、タクシーで二つの教会へ行くことに。村の中心地でタクシーを見つけて交渉するとドライバーは、元レーサーのような走りでセニョーラ・ダ・フェを祀る教会へ向った。急カーブをすいすいと走りぬけ、かなりすごい運転だ。
 ヴィエイラ・ドゥ・ミンニョオから3kmほど離れた小高い丘の中腹にあるセニョーラ・ダ・フェ教会は、静かな佇まいで周りに家は無く、背後の山には巨石がごろごろと点在していた。石造りの教会に掛けられた垂れ幕に寄れば、教会が建てられて今年で250年目になる。
興味深いのは、教会の近くに枯れかけた巨木と巨石が佇んでいることだ。巨石の下部から水が湧き出ていた。この水は、どこから引いたものを巨石の中に通しているのだ。
湧き水を飲むと、実に甘露のような美味しさだった。
その後、村から8kmほど離れたセニョーラ・ダ・ラッパの石の教会へ向った。相変わらずのスピーディな運転に感心しながら、あっという間に到着した。丘には丸い巨石がごろごろとしていて、ある大きな巨石の下が聖母ラッパを祀る礼拝堂だ。
日本ならこの中に観音さまを祀っているだろう、などと思いながら、巨石に近付き中を覗いてみた。そこには椅子とテーブル、正面には聖母ラッパの像が祀ってあった。
巨石の裏手を回ってみると、胎内巡りのようになっていて潜ることできた。

その後、丘上の巨石に向かって木造の階段の道があったので上に向った。すると、巨大な割石や丸石などがごろごろとしていた。
落ちそうな丸い巨石の隙間を通って、さらに上がると頂上の巨石にあがることが出来た。
木の十字架が立てられた頂上から見渡すと、周囲は一面巨石だらけの風景が広がっていた。

しばらく眺めていると、重機の音が聞こえてきた。何だと思い、目を凝らすと遠くで重機が巨石を割っているではないか。開発のためか、それとも石材を求めて割っているのか。その目的は分からない。

何年か後にこの丘に来たら、もしかしたら、多くの巨石が無くなってしまうかも知れない・・・。
 毎年7月にはこの聖母ラッパを祝う祭りが行われているという。
さらに開発がつづいてゆくなら、この巨石に聖母ラッパが再び現れ人々に何らかのメーッセージを伝えるように思えてならない。  そんな願いを胸に、石の教会を後にした。

                ポルトガル、ブラガにて 郡司 拝