2009/09/09

ポルトガル、最もポルトガルらしい巨石の街モンサント

 9月4日

 リスボンからバスを乗り継ぎ、4時間あまりでモンサントに近付くと、辺りは奇岩が立ち並ぶ岩山の光景が現れていた。この岩山の村が、モンサントである。バスが岩山を上り始めると、山手の道路沿いに巨大な丸石が二つ並んでいた。


やがて、岩山の中腹にバスは停まった。バス停から下を覗くと、可愛らしい丸い巨石が歓迎するかのように立っていた。
この村にはホテルが一軒しかなく、予約をしていなかったが幸いにも泊まることができた。チェックインして、さっそく観光案内所で地図をもらい我々は岩山へ向かった。
石畳を山へと上がって行くとあちらこちらに巨石があり、その隙間に家が建っているといった感じがする。
ある巨石と巨石の間は、岩屋のような空間になっていてそこが休憩所になっていた。中に入ってライトをつけると石の椅子があり、何とも素敵な雰囲気だ。

それにしても、このような巨石がごろごろしている岩山に人々が暮らしているとは実に不思議だった。 モンサントとは聖なる山の意味だが、ここは先史時代より聖なる山としてあがめられてきた聖なる場所であったのだ。
 モンサントは、1174年、アフォンソ・エンリケスがイスラム教を排撃し1190年には、ドン・サンチョ1世の命令でテンプル騎士団の統治下に置かれた。18世紀には、ドン・ディニス王より岩山の上に城が再建された。
この城を頂上として中腹に広がるモンサントの村は、石造りの家が岩にしがみつくように建ち並び、その光景は実に面白い。
山頂に近付くと、さらにスケールの大きな巨石が折り重なり、現代アートの作品のように様に迫ってくる。

石積のアーチを潜ると山頂にたどり着いた。そこには、城は無かったが、巨石を取り囲む城壁が見事な景観を作っていた。
序壁を上り、辺りを見渡すと凄い存在感のある巨石が見えた。

太陽が傾き、城壁からモンサントの村を眺めると村の街灯が灯りはじめていた。 巨石の村モンサントでの人間の息遣いを感じる光景でもある。
この村は、古くから巨石と共に暮らしてきた。そこに暮らすことを決意した先人達は、この巨石の聖地性を強く感じていたに違いない。
 1938年、モンサントは「ポルトガルで最もポルトガルらしい村」として選ばれたという。それは、奇岩や巨石と、石造りの家が不思議なハーモニーとなって共生し魅力ある景観をつくっているからだろう。
黄金色に輝く巨石を見ながら岩山を後にした。

                   ポルトガル、ブラガにて 郡司 拝