2009/09/20

スペイン、カタルーニャ人の聖なる岩山モンセラート

9月15日

世界石巡礼の途上、バルセロナでアントニオ・ガウディのいくつかの作品群を見る機会を得た。
彼の作品は、まるで植物のような有機的な雰囲気を醸し出している。その極めつけが最後の作品サグラダ・ファミリア(聖家族教会)贖罪聖堂だ。聖堂の中に入ると、まさに建築現場であった。

ガウディの死後、このように建築がつづけられていることは奇跡である。これは、彼の作品が時代を超えて未来の方向性を指し示しているからだろう。
特に印象的だったのが塔の螺旋階段で、まるで貝殻のようであった。 上から覗き、下から見上げた。

その夜、再びサグラダ・ファミリアを訪ねる。近くの小さな公園がありその中に池があり、そこに映る逆さサグラダ・ファミリアを見たかったのだ。池の中を覗くと、まるで地底に伸びる神殿のようなサグラダ・ファミリアがあった。
翌日、ガウディやダリに影響を与えたといわれるモンセラートへ行く。

 バルセロナから地下鉄でエスパーニャへ。エスパーニャからカタルーニャ公営鉄道、モンセラートラック鉄道に乗り換え1時間半ほどでモンセラートの修道院に到着する。電車には座りきれないほどの観光客でにぎわっていた。
バルセロナの北西約60kmにあるモンセラット山の麓には、黒いマリア像で知られるベネディクト修道院がある。
黒いマリア、つまりここはキリスト教以前からの大地母神の信仰があった聖なる場所であった。
修道院の背後は、ごつごつとした岩山で覆われていて実に神々しい。モンセラートとは、のこぎりの意味で、まさにのこぎり山といった感じだ。

修道院を見学してからケーブルカーで山上へ向った。
 山上の駅に着くと、そこからさらに岩山に向って登山道が続いていた。岩に導かれるように上って行くと、そこには奇岩、怪石はもとより、まるで天啓を現わすかのような巨岩群が点在していた。


 カタルーニャ人の聖なる岩山モンセラートは、今でも多くの人々に様々なインスピレーションを与えつづけているのだろう。

                 モロッコ、マラケシュにて 郡司 拝